英語の時間と休み時間

ちょこっとタメになる独り言

英語教育に一石を投じる一冊 やっぱり黙々と勉強することが英語上達の唯一の道なんだなぁ

 

『迷える英語好きたちへ』を読んだ。正直、英語の勉強にはならない。しかし、今の日本の英語教育に関する鋭い意見が述べられている本だと思った。特に「カタカナ英語」が溢れていることに著者の鳥飼先生も斎藤先生も憤りを感じているところが印象的であった。

日本の教育水準が高い大きな理由は、母国語で全ての科目が学習できるからである。勿論、日本人の英語力が世界的に見て低いということは長期的な戦略を持って何とかしなければならない課題だと思うが、その一方で全ての日本人が日本語を話し、ほぼすべての日本人が日本語を読むことが出来ること、そして、その日本語を通して全ての学問を学べるということの有り難さを私たちは忘れてはいけないのだ。

「最近の若者は5行の文が読めない」(勿論、日本語の話)という言葉を聞いたことがあるけれど、塾で子どもたちに勉強を教えているとこれは冗談ではないと実感する場面に多々出くわす。(そもそも母国語がそんなレベルなのに英語力をつけましょうというのは理論が破綻している気もするが・・・。)だから、もっと母国語を大切にしようよと思うのだけれど、周りを見れば中途半端なカタカナ英語のオンパレードである。

パンデミック」「オーバーシュート」その他もろもろも「感染爆発」とか「感染拡大」と言えばよいし、[stay home]ではなくて「家にいましょう」で良いのではないのか。(ちなみに、日本で使われている「オーバーシュート」は完全に間違った使い方だった為、さすがに最近は使われなくなっているように見受けられる。)

英語は英語の文脈の中で使うから意味がある。英単語を切り抜いて日本語の文脈の中で使うとPOPで、何となくもっともらしく聞こえるが、実は海外の人から見たら「?」であることばかりなのだ。

例えば、[social distance] は正確には[social distancing]である。しかし、このsocialには「階級」といった意味合いが含まれているから、単に人と人との距離をあけましょうという呼びかけの場合、[physical distancing]と呼ぶことをWHOは提唱しているけれど、そんなことは日本国内ではおかまいなしである。

と、そんな内容のことがこの『迷える英語好きたちへ』に多く書かれている。繰り返しになるけれど、英語の勉強として読むと期待はずれだが、今の日本の英語教育を知り、どの様に自分自身が英語を勉強すれば良いのか、もしくは自分の子どもにどのように英語を勉強させればよいのかを知るのには最適の本であると思う。

特に小・中学生の子どもを持つ親には読んでもらいたい一冊だと思った。


おまけ

英語教育はお金をかければ良いというものではない。筆者も数年前は英会話教室で英語を教えていたけれど、英語が出来るようになる人はそのような教室に通っても通わなくても出来るようになると思うし、その逆もしかりだと思う。

大切なのは「英語に取り組む姿勢」である。積極的に単語を覚えて、たくさん英文を読んでいく。英文がスラスラ読めるようになったら、間違いを恐れずに英文を書いていく。英文が書ける=英語が話せるということだから、すらすらと言いたいことを英文で表現できれば、それはつまり英語が話せるということなのだ。そして最後にネイティブとたくさん会話をし、スピーキング力と同時にリスニング力をつけていくという段取りなのだけれど、多くの人がネイティブと会話をすれば英語が自然と話せるようになると考えていて、そこの間違いを筆者は正したいのだけれど、どうすればよいのだろうか・・・。

「単語を覚えて、文法の勉強をする」→「英文を読む」→「英文を書く」→「ネイティブと会話する」

数年前に「ニューヨークで5年暮らしたけれど、英語は全く話せるようになりませんでした。」と、筆者が教える英語の初級クラスに参加する女性がいたけれど、これがリアルだと思う。

数年前に「スピードラーニング」という聞き流すだけで英語が身に着くのような教材が一世を風靡したけれど、筆者は「絶対にそんなことはない!!」と「スピードラーニング」の購入を考えていた両親を全力で止めた経験がある。案の定、スピードラーニングは現在生産中止になっている。当然だ。

「1週間で~」や「半年でビジネス英語が話せるようになる」などというのは絶対に嘘!!これは、本気で英語に取り組んできた人なら誰でも分かることだけれど、英語に本気で取り組んだ経験の無い人は、英語が話せたらいいなという軽い憧れから騙されてしまう。本当にこういう嘘でビジネスをしている連中に腹が立ってしょうがない。

英語は本当に難しい!!簡単に英語は話せるようにはならない!!英語の学習を本気で取り組んでいる人が、この事実をしっかりと周囲の人に伝えることが出来れば、馬鹿みたいな誘い文句で英語学習者を煽る教材は淘汰されて行くし、そうなって欲しいと本気で思っている。


おまけのおまけ

『迷える英語好きたちへ』の中で、洋書の原文を読もう!と斎藤先生は仰っているけれど、正直小説を英語の原文で読むのはかなり高度である。そこで、筆者がお勧めしているのは日本語の小説を英語にした本である。


左手に日本語の小説を置いて、右手にペーパーバック。これなら英単語のもつニュアンスを勉強することが出来る。ある程度の単語力と文法を勉強した人は、いきなり洋書を読むのではなく、この方法を試してみるのはどうだろうか。

ちなみに、村上春樹氏の小説は個人的に読みやすいと思うのでお勧めだ。

では、今日はここまで!!
またね!!