『小さなスプーンおばさん』を読んでみた
『小さなスプーンおばさん』
アルフ・ブリョイセン作
大塚 勇三訳
目次
[筆者のアルフ・ブリョイセンについて]
1914年にノルウェーの田舎町に生まれる。両親が貧しい農家であった為、小さい頃から親の手伝いをしなければならなかった彼は学校教育をまともに受けることはなかった。
しかし、彼の類い稀な才能は大きな自然の中で伸び伸びと育まれていった。「小さなスプーンおばさん」に出てくる様々な動物たちの生き生きとした描写に彼の文学のルーツを見ることが出来るだろう。
[読書感想文]
ある朝、目が覚めるとおばさんは自分の体がティスプーンほどの大きさになっていることに気がつきます。しかし、おばさんは動じません。彼女は「スプーンみたいな大きさになってしまったなら、それでうまくやっていくしかないわね」と独り言を言った後、ベッドから飛び出して、やらなければいけない家事を次々とこなしていくのです。
もちろん小さな体のおばさんは自分の力だけで床を拭いたり洗濯したり、パンケーキを焼いたりすることは出来ません。でも、おばさんは犬や猫、ネズミの力をかりて今までとかわらない仕事をこなしてしまいます。
おじさんが帰ってくる頃には、おばさんの体は元の大きさに戻っていました。でも、おばさんはそんなことをおじさんには言わないので、おじさんはおばさんがそんな小さな体になっていたことなんて気がつかないのでした。
「小さなスプーンおばさん」はある瞬間に体が小さくなり、またある瞬間に体が元の大きさに戻る「おばさん」のちょっとした日常に潜む冒険を描いた児童小説です。
あるときは子供のお守りをしているときに体が小さくなってしまい、あるときは体が小さくなったときにカラスにさらわれてしまうのです。しかし、どんなときもおばさんはうろたえることはありません。智恵と行動力と何事にも動じない度胸をもって全ての問題を解決してしまいます。
1話完結の12話からなる短編集です。小学校の低学年の子供が読むのに適した難易度かと思いますが、大人が読んでも面白いので、もっと小さな子供がいる方は子供に読み聞かせをして一緒に物語を楽しむのも良いと思います。
全161ページなので小学校の低学年の子供が一人で読む場合は1週間くらいかかると思いますが、1話あたり15ページ前後なので日々の読書には適していると思います。
[読後の感想]
ファンタジーの要素が強いので、筆者は「いしいしんじ」さんの小説を読んでいるような気持ちになりました。「いしいしんじ」さんの小説が好きな方は年齢問わず一読の価値ありです。
[まとめ]
・1話完結で12話収録
・全161ページ
・小学校低学年くらいの年齢に適してた難易度
・日々の読書習慣を身に付けるのに適した児童書
・幼稚園くらいの子どもに読み聞かせるのも効果的
では、今日はここまで!!
またね!!