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ちょこっとタメになる独り言

中学生の読書感想文の書き方

本日は本気で中学生の気持ちになって読書感想文を書いてみようと思う。

 

 

「GO」 金城一紀

 

この物語は在日朝鮮人(韓国人)の杉原という少年の恋愛とアイデンティティに関する物語だ。

 

朝鮮半島は1950年に起こった朝鮮戦争によって北の朝鮮民主主義人民共和国大韓民国に分断された。この朝鮮戦争アメリカの資本主義とソビエト連邦共産主義が対立していたことによって起こった代理戦争だと歴史の授業で習ったが、それによって日本にいた「在日韓国人」がどうなったのかについては知らなかった。1910年の韓国併合から太平洋戦争が終結するまで朝鮮半島は日本の植民地であり、その時代に日本にやってきた、もしくは連行されてきた杉原の父は1950年の朝鮮戦争により突然祖国から「あなたの国籍は北朝鮮ですかそれとも大韓民国ですか」と問われるのだ。杉原の父は始め北朝鮮籍を選び、次に韓国籍に変える。つまり、日本人から北朝鮮人になり韓国人になったのだ。「国籍は金で買えるぞ。お前は何人になりたい?」と息子に問いかけるシーンはとても印象深かった。

 

僕は日本人である。それは父と母が日本人で日本で生まれ日本の国籍を持っているからだ。僕はそれをずっと当たり前だと思っていて、自分が何人なのかなんて考えたこともなかった。もし僕がフランス人と結婚してフランスの国籍を取得したら僕は何人になるのだろうか。日本人の父と母を持っているからやはり日本人なのだろうか。この小説の主人公である杉原も今の僕と同じように自分が何人なのか分からず苦しんでいるのだ。彼はとても強い人間だからそんなことどうってことないという顔で毎日を過ごしている。しかし、付き合っている桜井という女の子に自分の国籍は日本ではないということをどうしても伝えられないところに彼の本音があるのだと思う。ある日、彼は決心し彼女に国籍が韓国であることを告げる。すると彼女から「理屈ではなく韓国籍の人と付き合うのは怖い」と言われてしまう。とても淋しい場面だ。そして数日後、彼は再会した桜井に向かって「俺は何者だよ?」「俺は在日でも日本人でも何でもない。俺は俺だ。いや、俺は俺であることも嫌なんだ。俺は俺であることからも解放されたいんだ。」と叫ぶのだ。とても複雑な場面だが、最後に桜井が「もう杉原が何人だってかまわないよ。わたし、ようやくそのことに気付いた。」とやさしく彼に語りかけるシーンで僕はとても温かい気持ちになった。しかし、この場面はそれだけではなく、本当に人種とは何かを僕に考えさせるものだった。桜井の言う「日本人以外と付き合うことがなんとなく怖い」という気持ちもなんとなく分かる気もするし、杉原の悲しい気持ちも理解できる。僕たちは何人なのだろうか。もしくは何人でもないのだろうか。

 

僕は物語の大切なところで必ず出てくる杉原の父親が好きだ。彼の息子に向けて放つ言葉や態度がぶっきらぼうだけれどとても暖かいのが良い。車で海の見えるところに息子を連れて行き、海を見ながら「広い世界を見ろ。そして自分で決めろ」とだけ呟く父親。スペイン語で「俺は朝鮮人でも日本人でもない。ただの根無し草だ」と呟く父親。ハワイに旅行に行くためだと嘘をつき、息子の為に韓国籍に変えた父親。元プロボクサーの彼はときに息子を思い切り殴りつけることもあるけれど、誰よりも息子のことを気にしていることがよく伝わってくる。とても格好いい父親だと思った。僕も将来父親になったら杉原の父親のように遠くから息子を暖かく見守れる人間になりたいと思った。

 

物語の最後に杉原は「俺が国境線を消してやる」と言う。この本を読んで僕は今まで考えたことのない「国境線」について真剣に考えてみようと思った。日本は島国だから国境線で隣国と陸続きにつながってはいない。地理の授業で国境線について勉強はしたけれど、正直それを意識したことはなかった。遠い世界のことではなく、今でもよく考えれば日本にだって根強く残る民族意識はあると思う。ニュースで見たヘイトスピーチは僕を悲しくさせたけれど、今まで深く問題意識を持ってこなかった僕に実は悲しむ資格などなかったのかもしれない。今回「GO]という本を読んでとても良かったと思う。とても勉強になる本だった。

 

 

まとめ

 

・ストーリーを順番に追うような説明書は絶対にだめ

・自分のこととリンクさせて書く

・理屈っぽくならない

中学生なら物語に書いていない歴史的な背景(学校で習ったこと)を書くのも有効

・少し背伸びした表現にもチャレンジしてみる

下書きを何度も書き直す(すぐに清書は絶対にしない)

 

keisuke-english.com

 

 

基本的には小学生の感想文と変わらないと思います。
小学生用の読書感想文の例も書いたので是非こちらも参考にしてみて下さい。

 

 

では、今日はここまで!!

またね!!